2011/05/23
夜間当直や、休日の日当直で、これまで診た患者は、延べ1万人前後くらいかと思う
頻度的に多い症状は、腹痛、発熱、めまい、嘔吐、下痢、失神など
さほど多くはないが、生命にかかわる可能性のある症状では、胸痛、動悸、吐血、頭痛、高血圧緊急症、意識の低下、心肺停止状態などがある
症状の種類は、上記の10余りで、決して多くはないのだが、その原因疾患の数となると、ゆうに100を下らない
次に、頭の中で、2位以下の鑑別診断を羅列する
そして、それらを鑑別できる検査をオーダーする
これらは、恐らく、どの医師でも、初診患者を診るルーチーンの手順であろう
最初の直感が当たる場合が多いのだが、時には外れる場合もある
これらは、2の矢、3の矢が診断の確定に物を言ったわけだ
寝起きによる不機嫌や、ぼんやり状態のまま、患者を診ることになる
そうすると、ぶっきらぼうな対応になったり、判断が狂う可能性もある
これは、患者にとっては迷惑なことであろう
このことに気づいてからは、僕は当直の夜は、原則として、寝ないことに決めている
尤も、忙しい夜は、寝たくても寝る時間がなく、結果的に朝まで起きていることも多々あった
夜、寝ないでいると、テンションが上がる
夜間診療では、このテンションの高さが、僕にとって、誠に都合が良い
日中よりも判断が速く、正確である場合だってある
これは、深夜に起きていると、アドレナリンが分泌され、心理的抑制が取れて、行動に迷いがなくなるのだろう
苦しそうに顔をしかめ、無愛想で、問診にも、ろくに答えてくれない
かつては、こんな患者を見ると、診察者である自分は、いらっとする時期があった
しかし、これらの患者は、入院後、病状が回復すると、人が変わったように丁寧な対応をしてくれたりする
即ち、人は、自分が絶不調の時、自分をつくろったり、医師を含めて、相手のことを考える余裕など、ないのだ
機嫌の悪い患者は、それだけ苦しいということなのだ
無理をして笑顔を作られるより、わかりやすい
これらは、心で思うのは自由だが、診察者にとって禁句発言だ
誰もすき好んで深夜に病院に来たいわけではない
皆それぞれに、それだけの、事情があるのだ
救急搬送され、意識がないように見受けられた患者に
「わかりますか?」 と声をかけたら、その答えは
「わかりません!」
ああ、意識はあった