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No.048 顧問医

2011/06/07

「一病息災」の意味を辞書で調べる

「持病が一つくらいあるほうが、無病の人よりも健康に注意し、かえって長生き(健康)であるということ」

こう書いてある

若い時は、ほとんどの人は病気とは無縁である

高血圧の体質を持った人も、糖尿病の体質を持った人も、子供時代、青年時代には、みな健康である
だから、当然、病院とも無縁である

しかし、人は老いる
40歳のことを、以前は
「初老」
と言ったように、人は40歳を過ぎたころから、不思議なことに、色々な病気が出て来る

高血圧の体質を持った人は、徐々に血圧が上がり、糖尿病の体質を持った人は、徐々に血糖値が上がる

たとえば高血圧

日本人は、50歳以上の約半数が高血圧であるとされる
日本人は、遺伝子的に、高血圧になりやすいと言われている

たとえば糖尿病

血糖値は年齢とともに上昇する
日本人は、これも遺伝子的に、糖尿病になりやすいと言われている

これら、遺伝子のなせるわざと

食生活の乱れ、運動量の減少などが加わって、加齢とともに高血圧や糖尿病が発症してくる

職務上、健診結果を見る機会が多いDKだが

30歳台以下の人のほとんどは、全項目が正常値である

逆に、50歳以上の人で、全ての項目が正常という人は、驚くほど少ない

血圧が高い、コレステロール値が高い、血糖値が多少高い、肝機能を示す数値が高い などの人ばかりである

これらの人々は、何の症状もないから、もちろん自分は健康だと思っている
しかし、今の生活習慣を続ければ、その中の多くの人は、本物の病気になって行く

さて、健診で

運よく(?) 高血圧や、高脂血症などが見つかったとする
指示により、結果を持って、医療機関を訪れる

医師からは、内服治療を勧められる
「仕方なく」、医療機関に通院することとなる

しかし、たとえ薬をもらうだけでも

医療機関に通っていれば、
自分の主治医を持つことができる
主治医であれば、他科の疾患について相談することだってできる

主治医をハブにして、その分野の専門家に紹介してもらうこともできる
家族の病気の相談をする人だっている

主治医を持つということは

法律関係なら、顧問弁護士を持つようなものだ
信頼できる主治医は、自分の「顧問医」だ

ただ、弁護士と異なり、有難いことに、医療保険が使える

例えば、高血圧で通院していたとする

少し前から胃の調子が悪いことを主治医に話す
すると主治医は
「胃カメラしましょう」
と、
こともなげに言う

有無を言わせず、予約を取られ、
「いやだな」
と思っても、自動的に予約日に胃カメラを受けることになる

結果、早期胃癌が見つかる
手術を受けるのかと思いきや、EMRと言う、内視鏡を使った処置で完治する
こういった具合だ

いっぽう、生来健康と豪語している人にとって

これまで縁がなかった病院の敷居は高い
だから、ある時、症状が出ても、少しの間、我慢する

しかし、一向に良くなる気配がない
思い余った挙句、遂に決心して、病院に行く

これが治る病であったなら、幸いだ
しかし、症状がひどくなってからでは手遅れという病気は、いくらもある
そういった場合は残念な結果となる

最後に、僕個人の意見だが

医療機関は、土日、祝日の、少なくても午前中は、通常の診療をするのが良いと思う
病気は待ってくれないし、仕事を持っている人は、土日、祝日しか休めないことも多いから

ついでに、公官庁の窓口業務も、そのようにして頂きたいものだ

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