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No.063 おひとりさま

2011/08/15

一生結婚しない人、すなわち生涯未婚者の割り合いが増えている

この傾向は特に女性に強い

6月24日のヤフーのトップページの特集は

「生涯独身を貫くには”覚悟”が必要なの?」 だった
将来、離婚、死別などで独居者が増えることは容易に想像できるが、なぜ、生涯未婚率が増えているのだろうか

もちろん

未婚であっても子作りはできるし、家庭を築くことだってできる
しかし、おそらく、生涯未婚者は、そういった家族関係を構築することを好まない
だから、きっと子供は作らない
だから、ますます少子化が進む
だから、日本の人口はどんどん減っていく

21世紀末には、日本人口は 4000万人程度となるとの試算もあるという

現在の生涯未婚率は

男性 2割未満、 女性は約 1割だが、近年、急速に増加している

この傾向が今後も続けば、2030年には男性30%、女性22%が、生涯未婚であるとの試算もあるという

女性の社会進出が目覚しくなって

仕事の楽しさを知り、経済力を持つと、
家庭を持つことの意義が次第に薄れて、むしろ、結婚生活の煩わしさばかりが気にかかるようになる

だから、恋愛はしても、結婚はしない
結婚してさえいなければ、恋愛は自由だ
そういった構図が目に浮かぶ

今では、女性の活躍する場面が増えて

男性と、ほぼ等しい職務内容や業績を期待されることが多くなった
したがって、産休、育休など、制度は一応確立していても、出産や育児で、人に遅れを取っているわけには行かない

本業と、夫や子供の面倒をみる家事との両立が、ますますむずかしくなってきている時代だ

だから、結婚など考えず

自分だけでレギュレートできる世界にのめり込む女性が増えてくるのか?

女性が、このように結婚から遠ざかって行くので、男性にとっては、結婚対象の女性が減ることとなり、結婚したくてもできない人が増える

今は、人それぞれの価値観が

これまでにないほど、多様化している
社会の目もそれを、許容するようになってきた

結婚しないでいても、誰も、そのことを、とやかく言わないし、差別もしない
従来の 「常識」 は、急速に変化しつつある

「人は適齢期になれば、家庭を持ち、子供を作り・・・」 といったこれまでの 「当たり前」 は、
十数年後には 「当たり前のこと」 ではなくなっているのか?
結婚は、人生において、単なる選択枝の1つに過ぎない時代となってしまうのか?

しかし、視点を少し変えれば

従来の日本の結婚観が不自然だったのかも知れない

それは、日本という国家が、古くから 「家」 を基本に構成された社会であったことに起因する
だから、適齢期になれば、誰もが結婚して子供を作り、家庭を持つのが当然だった

けれど、世の中

そんなに都合よく、相性の良いカップルばかり出来上がるはずがない

相性がさほど良くなくても、
「年齢的に出産のタイムリミットだから」 
「親がすすめるから」 
「付き合いが長いから」 
「子供が欲しいから」 
「自分に職業がないから生活するために」 などの理由で結婚してきたカップルはきっと多い
だから離婚率も高くなる

日本のような

中央集権国家においては、家族が社会を構成する最小単位である
だから、独居世帯が増えることは、国家にとっても不都合なことである

ちなみに、現在においてさえも、すでに独居世帯の割合が最も大きい

上野千鶴子氏が

おひとりさま に関する書籍を数多く執筆され、 「お一人様」 文化は、すでに日本に定着した感がある
「おひとりさま」 をターゲットにした市場も、飲食店業界、旅行業界などでは形成されつつある

これから、暫くの間は、おひとりさま文化がビジネスチャンスになるのかも知れない

未婚者の場合

成壮年期には気楽で、自由で、リッチで、生きて行くのに大した苦労はない
しかし、お一人様文化が定着すれば、
彼らがもし病気になったり、仕事がなくなった時や老後の寂しさや不便さをカバーする社会システムの構築が必要とされることになる

家族がなくても

苦労がないように、このような状況をサポートする類のビジネスが、恐らく創出されることであろう

これも、社会の進化の過程なのだろうか?

少し寂しくもある

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