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No.064 リーダーシップ

2011/08/22

今年も66回目の終戦記念日を迎えた

太平洋戦争で亡くなった邦人は、軍人、民間人を含めて約310万人

先日、NHKの特集番組では、太平洋戦争に突入する直前の、帝国陸軍と海軍、近衛首相の、開戦か戦争回避かに関する議論と駆け引きが、開戦直前まで続けられていたという事実を、当時の関係者の証言テープを基にして伝えた

番組によると、陸海軍の指導者、近衛首相とも、日本は、圧倒的な物量で凌駕する米国に挑んでも、勝利できないことを十分承知していた
したがって、彼らは、本心では戦争回避を望んでいた

しかし、これらの、優秀な日本の指導者達は、マスコミ(新聞、日本放送協会) によって作り上げられた世論の好戦ムードや、自らの軍組織の権益を守るという意識の中、本当の国益が何かを見失い、誰も戦争回避という結論を提示できなかった

そして、何度も開かれた大本営政府連絡会議では、毎回、結論が、「様子見、先送り」 となり、世界情勢の厳しさから、選択枝がどんどん狭められて行く中、ついに開戦の道しか残らなくなってしまった

ここには2つの重要な問題が潜んでいるように思われる

  1. 世論の熱狂的とも思える開戦ムードを作り出した一因が、メディアであったこと
  2. 開戦が間違いであることを知っていながら、いくつかのしがらみで、遂に開戦の決定をせざるを得えなかった当時の日本軍幹部の優柔不断、リーダーシップの欠如

開戦の一因となった満州事変に関しても

時の政府は、戦線拡大路線に反対であったが、満州での板垣ら率いる関東軍の勝手な暴走的軍事行動を止められなかった
そして、満州におけるこれらの軍事行動を追認し、結果的に日本の拡大路線を推し進めることとなった

ここにも、政府のリーダーシップの欠如が見られた

番組では

全国紙新聞各社が、戦況を掲載することで販売部数が伸びるため、軍部側に接近して情報を収集し、また軍部は新聞を利用して都合の良い情報を流し続け、新聞社と軍は良い関係を構築し、世論を開戦論に導いたことを伝えていた

また、日本放送協会のラジオ放送も、軍部寄りの情報を発信し続けたという
70年も前のこととは言え、NHKが、自身の前身である戦前の日本放送協会をこのような形で取上げたことは、画期的なことだ

国家の危機においては

メディアが中立な立場で真実を報道することが、いかに難しいか、また、国民はメディアによっていかようにも操作されてしまうものだということを思い知らされた
インターネットの普及した現代においては、このようなことは起こりにくいだろうが、人がインターネットを含むメディアの発信内容を信じやすいことは、きっと何ら変わっていないだろう

さて、意思決定におけるリーダーシップ不在という問題は

現代の日本でも、そのまま当てはまるのではないだろうか
政治家は、きっと 「こうすれば良くなる」 とわかっていながら、党内派閥、支持団体、会派、自身の選挙区などの色々なしがらみから、自分の信念だけでは行動できないのだろうが、これは、今の政治のシステムが悪いからだと思う

内閣総理大臣は、強いリーダーシップを発揮することのできる職である

新総理大臣には、自身の政治家としての信念に基づいた、強いリーダーシップを発揮してもらいたいと切に望む

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