2011/09/02
流暢な英語を話す日本人は少ない
皆、なぜ英会話を習うのか?
実際、英会話が、生活や職業遂行上、そんなに必要なのか?
後輩のM君と 「英会話」 の話題を論じていた時、彼いわく 「日本にいて、医者が英語を話す必要性なんてないんじゃないっすか?」
でも 「映画を見る時、字幕なしで見られるだろう」 と僕
国内の普通の場所にいる限り、医者が日々の診療において英語を使わなければならないという場面はあまりない
しかし、たとえ下手でも、とにかく英語を話す習慣があると、診療の場で便利なことが稀にあることも事実である
近隣に電子機器メーカーの工場があったせいで、そこで働く外国人が患者として、しばしば病院を訪れた
しかし、ポルトガル語や中国語しかわからない人が多く、彼らには英語が全く通じなかった
中国の人なら、漢字で筆談という手があるが、ブラジル系の人は、通訳の人が同伴してくれないと、コミニケーションが取れないので困った
通訳を伴って来たので、はじめの頃、患者との意思疎通は割合うまく行った
僕は通訳に向かって日本語で話し、患者も通訳に向かってポルトガル語で話す
しかし、この方法だと、お互いの言いたいことは通じても、心がダイレクトに届かない
幸い、彼女が英語を話すことがわかったので、お互い、つたない英語でやりとりするようになった
相手がネイティブでないから、こちらは気後れすることはない
僕は日本語イントネーションのへたくそ英語で、彼女はポルトガルなまり丸出しの変な英語で、お互い、文法もいい加減なブロークンイングリッシュ同士で会話する
たとえブロークンであろうと、互いの意思は通じ合うもので、いつの間にか通訳は同伴しなくなった
患者と直接話すことで、お互いの信頼関係は強くなっていった
それにつれて、彼女の血糖値のコントロールもどんどん良くなって行った
実際、帰国子女はネイティブかと思うほどの発音で話す人が多い
羨ましい限りだ
しかし、日本に住んでいる限り、ネイティブに近い発音ができるようには絶対にならない
南スーダンの国民にインタビューをしているテレビ映像を見た
南スーダンの公用語は英語だそうで、彼らはカメラの前で、変な発音の英語をまくし立てて、独立の喜びを、体いっぱい使って表現していた
すなわち、国の数だけ 「英語」 がある
要は、お互いの意思が通じ合えば良いのだ
だから、日本人が、英米人のような発音で英語を話す必要は全くないと思う
病院売店店主Y氏が、実は某一流企業のサラリーマン時代に、米国支社勤務であったことを知り、病院の業務終了後、週1回、英会話教室を開いてもらっていたことがある
受講者は数人だったが、講師のY氏は毎回、リスニング、スピーキングの教材を持ってやって来てくれた
しかし、Y氏は、どんな話題になっても、すらすらと、淀むことなく口から英語が出た
これが、まさに日本人の目指すべき 「英会話」 ではなかろうか