2011/12/21
NHKがテレビドラマ化して、毎年、年末に放映している
僕は昨年末も視聴したが、 「続きは1年後」 というのに驚いた
そんな壮大な連続ドラマは類を見ない
明治維新からたった37年しか経っていない、開発途上であった日本が、当時、世界最強と言われ、最新兵器を備えたロシア軍を相手に、いかに戦い、いかに勝利したかを、秋山兄弟を主軸として、丁寧に描いて行く手法は、さすがNHKである
戦闘場面のリアリティー、迫力は劇場映画さながらで、一般的TVドラマのスケールを遥かに超えている
これでは、制作に 1年かかるはずだと納得
日本帝国のために膨大な数の日本人の命が失われたことである(もちろんロシアも)
記録によると日本軍の死者は約 8万8000人であるが、死亡した将兵の多くは 陸軍 で、そのうちわけは、
戦闘関連で死亡した数、 約 5万6000人、病死 約 2万7000人である
つまり、病死が死亡者全体の1/3を占めているわけだ
病因はさまざまであろうが、最も多かったのが脚気と考えられている
(日清戦争では戦傷死 1,400人に対して病死 12,000人)
脚気の病因が特定できておらず、感染説と栄養説に分かれていた
その結果、海軍 からは脚気死は出なかったという
恐らく多くの白米を食べたであろう
炭水化物の体内での分解利用にはビタミンB1が必要であるが、胚芽を含まない精白米はビタミンB1を含まず、そのため脚気が多発したものと思われる
「膝蓋腱反射が出ない病気」 くらいの認識の人が多いと思う
しかし、重症脚気は右心不全、乳酸アシドーシス、ウェルニッケ脳症など起こし、死に至る
昔の病気と思っている人も多いだろうが、実は今でも脚気は存在する
偏った食事習慣、たとえば炭水化物だけを多く摂取していれば、脚気になる
また、アルコール依存症の人は脚気になりやすい
これは、アルコールの代謝にはビタミンB1が必要な上、アルコール依存症の人は酒だけしか摂取しないことも多く、ビタミンB1不足に陥りやすいのが原因である
高峰譲吉によって米糠から抽出され、オリザニン と命名されたのは、日露戦争終結の5年後、すなわち1910年のことであった