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No.103 年末年始

2012/01/06

12月30日から1月3日までの5日間、病院に泊り込んだ

年末年始の日・当直を希望したからだ

思い起こせば、元勤務していた病院でも、毎年、年末年始は病院で寝泊りしていた
僕は変わり者だから、日・当直勤務が好きなのである

年末年始、町の医院が休業しているなか

多種多様の傷病をかかえた人達が、雪降りしきる中、苦労して病院に辿りつく
少しでもこれらの患者さんの力になりたい
不安を取り除きたい

さて、飯綱病院の年末年始の勤務では

当直帯よりも、日直帯に患者が殺到する
定番の熱発、咳、咽頭痛、下痢・嘔吐に始まり、めまいに伴う嘔吐、腹痛、包丁を落として足に刺った、熱傷、高齢者の肺炎や呼吸困難、うっ血性心不全の増悪、小児の熱発など、救急診療室の前はこれらの救急患者さんと、その付添いの人達で溢れかえる

なぜか、インフルエンザは一人もなかったが、そのかわり、マイコプラズマ感染症には多く遭遇した
また、外来患者さんの間を縫うようにして救急車は容赦なくやって来る
こちらは少し重症で、自動車での交通事故、スキーでの転倒事故、吐血、転倒による骨折、意識障害などである

地域医療の 「砦」 たる飯綱病院だから

この忙しさは仕方のないことなのだろう
「砦」 といえば余談ではあるが、飯綱病院は中世の領主、島津権六郎の砦、平山城の矢筒城館跡に建っている

当院は、日・当直とも医師1名、看護師1名体制ゆえ

たとえ僕がスピーディーに診断し、処置しようとしても、ナースはそうはいかない
多くの患者さん達を、待たせることなく、手際よく処理していくのは、当院が誇る、優秀なナース達だ

  • 病歴聴取や診察前のバイタルサインチェック
  • 点滴の準備と穿刺、終了後の処置
  • 採血の準備と採血
  • X線室やCT、MR室への患者移送、そして、患者の検査テーブルへの移動介助
  • 入院することになった患者の病棟捜し、病棟への移送、病棟ナースへの申し送り
  • 待機医師や待機技師への電話連絡
  • 診療介助や、整復の介助、外来小手術後のドレッシングやテーピング
  • 患者や、付き添い家族への、種々の説明や再受診予約
  • これらの仕事をしている最中にも容赦なくかかって来る受診希望患者への電話対応

などなどなど、僕なんかより、ナースはよほど忙しいのに、こともなげに、たった一人でスムースにこなして行く

今年に入ったある日の未明、その日は気温がかなり下がっていた

そこへ、電話による問い合わせが
「寒くて仕方がないんですが、どうしたら良いのでしょうか?」

当直看護師
「寒気がするのですか?」
患者
「いいえ、暖房をつけていても、ちっとも暖まらないんです」

電話の主は相当困っている様子だったが、病気ではなかったのでほっとする
寒いのはわかるが、病院に相談されても、一体どうアドバイスしたものか、当看護師は困ったという

この5日間でいったい何件検査をしたことか!

雪の中、一日に何度も駆けつけてくれる放射線技師や臨床検査技師の人達
休日出勤の事務職員
そしてナース
これらの人々の活躍があって、僕の診療が成り立っているわけだ

1月4日の夜、久しぶりに家に帰ってみると、年賀状が来ている

1枚だけ
しかし、それは、日本郵政からの年賀状だった

昨年は確か住所変更連絡をしたはずなのに

昔住んでいた愛知県の人たちから、どうやら僕は、すでに忘れられた存在になったようだ

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