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No.104 経済効果

2012/01/07

例えば万博やオリンピック

これらを誘致するとき、必ず 「経済効果」 が試算される

AKB48の年間経済効果は 200億円という

2005年に発足した AKB48は、年々人気が上昇し、昨年は頂点に達した感があり、昨年末はレコ大も獲得した
アイドルに疎い僕でもついに、たかみな、さしこ、才加、こじはる、峯岸、板野、大島、シーマリ、柏木、高城などの区別がつくようになってしまった

AKB48の CDを買った人だけに選挙権があるという 「総選挙」
これは、いわゆる 「AKB商法」 として批判の対象となっているとも聞くが、結果として一定の経済効果を上げている点で、偉い
CDや関連商品の売り上げ、公演料など、 「200億」 はだいたい計算方法が推測でき、実数に近い数字だろう

しかし、なでしこジャパンが金メダルを獲得した経済効果 1兆円

レディーガガ来日の経済効果 107億円などとなると、一体どうやってこの数字をひねり出したものか、不思議である
計算法によって、結果はきっと大きく異なるのだろう

要するに、 「経済効果」 とは、それほど曖昧で適当なものなのだ

数字を言ってみたところで、それを検証する手段がないから、言ったもの勝ちの世界である
事を有利に進めるために、わざと大きな 「経済効果」 を予測する場合もあり得るだろう

「経済効果」 とは少し違うが

消費税率 1%増税による国家歳入増加の試算は 2.6兆円というのが一般的だが、 1兆円との説もあり、その予測には大きな開きがある
これだって、試算の方法が異なるからである

歴史を振り返れば、バブル期、3%の消費税を導入することによって、その年の税収は予測どおり前年を大きく上回った

約 10年後、消費税を 3%から 5%に増税したのはバブル崩壊後の不景気の時代だった
2%の増税にもかかわらず、その年の税収は、何と前年を大きく下回ってしまった

要するに

消費税を上げればその分税収が上がる、などという単純な話ではないということだ
不景気の時に消費税を上げれば、結果の物価上昇による買い控えが起こり、市場に出回る金が減り、世はますますデフレになる
また、小売業者は内税方式で増税分を負担するなどして、結果減収となり、所得税収入や法人税収入が減って、結果的に税収総額が低下する

すなわち景気が悪い時の消費税増税はデフレスパイラルに拍車をかける
こんなことは経済の素人である僕にだってわかるのに、なぜ、世界不況の今、消費税増税議論が出るのかわからない

「段階的に消費税を増税する」 との大綱であるが

これは増税前の駆け込み需要を狙ってのもので、一時しのぎの税収アップに過ぎず、増税後には一層買い控えに拍車がかかるのは必定だ

その昔、賢い領主は年貢を上げるのではなく、新田開発により、米の収穫量を上げ、結果、年貢の総量は増えた
このような智恵が今の政府にはないのだろうか
金がないなら智恵を出せと言いたい

「政権交代」 という、一見魅力的で甘い言葉に惑わされ

「マニュフェスト」 という目新しい外国語を 「革新的で誠実」 と勘違いして、このような党を政権与党として選んでしまった僕達に最も責任があり、その意味では自業自得なのかもしれない

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