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No.134 業界用語

2012/03/23

僕の父は商人だったから

子供の頃から業界の、特に数字に関する隠語を覚えた
ステセムは 15、ステノンは 12、ミミは 3といった具合だ

医療界にも、 「業界用語」 が数多くある

今は、あまり多く使われていないが、思いつくまま羅列してみることにする

動詞編

デコンペる ( 「デコる」 とも言う)

心不全が悪化して危険な状態になっていること

拾う :

ステルベン (ドイツ語のsterben 「死亡する」 ) → ステる (これもしばしば使う)
→拾う ( 「捨てる」 を連想するため、あえて反対語を使う  主としてナース用語)

アポる :

脳卒中 (apoplexia) を起こす

ヘモる :

出血する (hemorrhageから)
因みに、ロングマンの現代英英辞典によるとhemorrhageは、bleedingが単に出血の意味であるのに対して、 「多量出血、出血が止まらないこと、予期せぬ出血」 とあるが、 「ヘモる」 は、むしろ、何かの手技のあと、少量の出血が起きてしまった時などに使う

臓器編

パンク :

膵臓 (pancreas)

ミルツ :

脾臓 (ドイツ語)

疾患編

AAA :

トリプルA・・・バンド名ではなくて、 「腹部大動脈瘤」

カルチ :

(carcinomaから) :
昔は 「クレブス」 (ドイツ語) と言った

VBI :

椎骨脳底動脈血流不全

CPA :

心肺停止状態

診療科編

デルマ :

皮膚科

オト :

耳鼻科

その他編

サチュレーション :

体表から測定する動脈血酸素飽和度

ディス :

退院 (discharge)
少し前までは 「エント」 (ドイツ語のエントラッセンから)

エフュージョン :

胸水、腹水などの腔水

ハルン :

尿

ブルート :

血液・・・ブルートトランス(輸血)= BTなどの使用例がある

ケモラジ :

化学療法+照射

プンク :

穿刺 (punctureから)

オーベン :

指導医、上級医

IC (informed consent)

「病状説明」 に転用されている・・・少し前までは 「ムンテラ」

エルブレ :

嘔吐 (ドイツ語のエルブレッヘンから) ・・・ドイツ語世代の先生方だけが使うが、知っていないと恥をかく

これらの 「業界用語」 や 略語 は

恐らく、はじめは同業者だけにわかるよう、隠語的に用いられたのだろうが、今、我々はそんな意識もなく、ごく自然に日常使う
文字数が少なく、会話には便利だからであろう
隠語の色彩は、特にない

応用編

家族や、自分が入院して点滴をされている時、点滴のあとが黒ずんでいたら 「少し ヘモ ってますね」 といってみよう
ナースは、きっと 「この人、何者?」 と思う

敬遠されて、逆効果になっても、責任は取らないので、悪しからず

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