2012/03/28
その中に含まれる菌を培養するためである
しかし、培養結果が出るのは 2から 3日後になるので、抗生剤の投与をそれまで待つわけには行かない
そこで
次に
という手順である
肺炎の初期には咳も痰も出ないので、検体の取りようがない
たとえ、痰が出ている人でも、自分で出せないと、口の中から吸引で採取しなければならず、口腔内の雑菌ばかりを検査することになりかねない
また胆嚢炎は胆汁を簡単に採取できない
悩む
いろいろな菌が見える中で、数の多いものが原因菌のはずだが、混合感染もあるので、原因菌が一つとは限らない
口の中に常在している菌も染まるので、判定を誤る
また形状、大きさ、染色具合からの菌の特定は、けっこうむずかしい
ちょうど、顔や体格から、その人の国籍を当てるようなものだ
悩む
「鏡検像から推定した原因菌が、培養された菌と異なっていた」 などということも、めずらしくない
最初に使用する抗生剤は、敵が見えないため、広いスペクトルを有する物が必要となる
敵がどこにいるかわからない時に、所構わず機関銃を撃ちまくるようなものだ
敵でない人も撃ち殺してしまうかも知れない
悩む
初めに選択した抗生剤で熱が下がって、まさにほっとした矢先、培養結果が戻ってきたとする
そして、レポートには 「今のよりも狭域の、別の抗生剤の方が、培養された菌に対して感受性が高い」 との結果が出ていた時、抗生剤を変更するべきか?
シャーレの上の感受性と、人体に使った時の感受性とは必ずしも一致しないものだ
医療に関する格言には 「今の治療が有効であれば、それを変えるな」 というのがあるし
悩む
抗生剤が効いている時、いつ中止するのか?
昔は 「熱が下がって 2日」 とか 「CRPが陰性になってから」 とか、いろいろ言われた
今は、特に基準があるわけではなく、各医師が、感染の種類を考えた上で、各自判断して中止時期を決めることが多い
僕の場合、たとえば肺炎では、下熱が得られ、白血球が正常化し、好酸球が上昇した時点が中止時期だ
その頃になると、患者は 「おなかがすいた」 と訴える
空腹感が出れば、回復した証拠である
CRPは少しでも下がっていれば良いし、レントゲン写真に影が残っていても構わない
肺炎の場合、最短 4日間で抗生剤を中止できた例もあるが、だいたいは 1週間以内といった所だ
この方法で、感染が再燃したケースは 1例もない
中止時期に関してだけは、僕はあまり悩まない