2012/04/24
と、ある病院関係者が言った
これは、病院運営上の話である
僕は、その表現の的確さ、新鮮さに惹かれた
医者は、パイロットと同様、患者という乗客を安全に目的地 (健常な状態) に届けるのが役目である
パイロット以外に、整備士、地上スタッフ、 CA、航空管制官など、多くの職種も必要であることは言うまでもない
しかし、いくら、他の職種が充実していても、パイロットがいなくては、飛行機を飛ばすことはできない
他のスタッフに問題があれば、安全に航空機を運行させることはできない
予期しない危機的状況に直面することもあるが、その経験と、培った操縦技術により、危険を回避する
だから、 「旅客機は世界で一番安全な乗り物」 と言われる
パイロットは、有視界飛行も行うし、計器飛行も行う
患者の状態観察に始まり、検査結果を見て、それによって診療計画を立てる
医者も、予期せぬ危険な状態に直面することがあるが、経験と智恵で乗り切る
医者も、パイロットと同じく、有視界飛行も行い、計器飛行も行う
検査結果を見て治療するのは、いわば計器飛行だ
聴診による診断には職人芸的なところがあり、どちらかと言うと、聴診器を使う診断は有視界飛行である
僕が研修医であった頃は、聴診器だけで、心臓弁膜症 8種類と、その程度を、ぴたりと当てる 「聴診の神様」 がいたものだ
しかし、心音に関しては、今は高機能の心エコー装置がある
だから、聴診器を使わなくても、トレーニングを受けた臨床検査技師なら、弁膜症の診断をつけることも、その程度を調べることもできてしまう
「心雑音があるかないか」 を はじめに見つけるのが聴診であることには変わりが無い
今は X線写真も解像度が良くなり、 CTも多列化しているので、聴診の意義は、昔ほど大きくはなくなってしまった
それでも、電気も放射線も使わない聴診は、有視界飛行として、今でも重要な役割を担う
緊急事態に対応するためのシュミレーションを繰り返しおこなう
ただし、パイロットのように、完成されたシュミレーションシステムがないので、実際の患者の診療から、自らを反省したり、評価したりしているのが現状である
パイロットの訓練のような、本格的なシュミレーションシステムを取り入れてはどうだろうか?