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No.163 15秒のドラマ

2012/07/02

民放のテレビ番組にはCMがある

まれに 30秒物があるが、大多数は 15秒物だ
番組が始まる前に 8本も 15秒スポット CMが入ると、もう、うんざりしてしまうというのが僕の実感だ
また、番組中でも、いわゆる 「CMまたぎ」 というのがあり、 「さて結末は」 というところで、必ずCMが入り、早く結末が知りたい僕はイライラする

だから、僕は

、受像機内臓のHDD録画機能を利用し、録画開始から 10分ほど経ったところで、後追い再生し、CMは、すべてスキップしながら、番組を見ている
たとえ 12本連続でCMが入ったとしても、時間にすれば、たったの 3分間に過ぎないのだが・・・

僕のテレビは古いので、裏番組が録画できない

だから、仕方なく、裏番組を録画しないで見ることもある
もちろん、不本意ながら、CMも見るはめになる
そこで発見した

CMは

15秒間という短い時間の中に、あらゆる工夫と、あらゆるメッセージを詰め込んだ、一つのドラマである
そのCM製作者達の、努力、工夫を考えながら、真剣に 「鑑賞」 すると、結構楽しいものだ

視覚の情報量は極めて多い

だから、メッセージは 15秒で十分伝わる
いっぽう、FMラジオCM 1本の時間は、 1分が多い
つまり、ラジオは聴覚だけを頼りとしているため、 4倍の時間をかけないと、テレビと同等のメッセージが伝わらないということなのだろう

しかし、待てよ

本当にそうだろうか?
目まぐるしく入れ替わる 10本前後の数のテレビCMに比べて、じっくりと聞かされるラジオCMの内容のほうが、意外なことに、実は頭に残るのだ
そして、不思議なことに、この、 1分もの 「長い」 CMが、聴覚だけでは 「長い」 と感じない

テレビのCMは

映像があり、奇抜性があり、有名タレントを起用し、ドラマ仕立てもあって、確かにインパクトはある
しかし、入れ替わり立ち代り現れるCMの波に、一体、どこのメーカーの、どんな商品を宣伝していたのか、頭に残っていないことも多い

きっと、ラジオCMよりも、はるかに多くの人と資金をつぎ込んで制作しているだろうに、結局、出演していたタレントや、CMのストーリー性が記憶に残るに過ぎない

視聴率調査というシステムがある

テレビ局の制作側は、この 「視聴率」 に一喜一憂していることだろう
なぜなら、高視聴率の番組には、きっと高額のスポンサーがつくからだ

しかるに、一方で

テレビ受像機に高機能のハードディスク録画機能がついている今日、 「視聴率」 が本当の視聴率ではないことが指摘されている

しかし、だ

録画で番組を見る人は、きっと皆、CM飛ばしをするであろう
だから、結局は 「視聴率」 が、CMの視聴率でもあるのだ
すなわち、スポンサー側から見れば、これでいいのだ


テレビ受像機の高機能化によって

皆がCMを見なくなってきているのは事実である
このことは、将来、もしかしたら、現在はスポンサーのCMで成り立っている民放テレビ業界の構造を、根本から変える事態に発展するかも知れない

こう考えると

「いくつかの裏番組を同時録画できる」 とか、 「 1週間分の全ての局の番組を録画できる」 とか、超高度な録画機能を持った製品を、テレビCMで流しているのは、何とも皮肉な話である

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