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No.164 卵が先か、鶏が先か

2012/07/04

すったもんだの末

消費税を段階的に 10%にまで上げる法案が、遂に可決された
「こんな不景気の時に消費税を上げれば、ますます不景気になる」
という意見と
「不景気で税収が不足するから、消費税で賄わなければ財政が成り立たない」
という意見が真っ向から対立した構図だ

卵が先か、鶏が先かの議論に似ている

だれも、正答などわからないはずだ
いずれにしても、消費税は、導入された時点で結局、漸増する運命にあった

消費税が始めて導入された頃

たまたま乗ったタクシーのドライバーが言った
「消費税法案が通ったら、税率なんて、 3%どころか、どんどん上がることは目に見えてるよねー」

その通りだった

ただ、今回のすったもんだで浮かび上がったのは

政党政治が、すでに限界に来ているということではないだろうか

国会議員は

政治家としての信念にもとづいて行動することは自由でなければならないはず
だから、たとえ党の方針が消費増税賛成であっても、自分は反対の立場を取ることは自由のはずだ

ところが、誰が、どちらに投票したのかがわかるシステムである
ここに 「造反議員」 などという、中国語起源の言葉が飛び交う
一般に選挙というものは投票者は無記名だ
だから、国会でも、少なくても採決は無記名であるべきだ

今の政党は会社化している

政党に所属する議員は、いわば、その政党の社員である
会社なら、会社の方針に従わないと、処分を受けるのは当然かもしれない

でも、政党は会社とは違う

「党の方針に従わなかったから処分する」 などというのは筋違いもいいところだ
国会議員は国民の投票で選ばれていて、民意を代弁する責務を負っているわけで、 「政党」 という会社の 「社員」 ではない

党の方針に従わなければならないのなら

法案に対する賛否を問う各議員の投票など不要であり、法案の採否は、まさに党員の数だけで決まるはずだ

しかし、党員であるがために当選した人は

政党に恩があるから、政党の方針には従わなければならないように刷り込まれている
また、政党には、いわゆる 「支持団体」 あるいは、 「圧力団体」 があり、これらは票集めには不可欠の存在だ

だから、政党は、常に選挙を念頭に置いて、自分が有利な方向に動く傾向にあるのだろう
この構造自体、すでに民意を無視していて、とても 「主権在民」 とは言えないのではないか

今回は、政権政党内で意見が分かれたこと

政党間の総選挙を睨んだ駆け引きなどから、採決が遅れに遅れた

わが国を含めて世界経済の低迷が回復する見込みの少ない中、一刻も早い手を打たねばならない時に、政党内、政党間で、一体何をやっているのだと言いたい

政党政治は 1925年の加藤高明内閣から始まったとされ

1932年に 5.15事件をきっかけに終焉を迎えた
しかし、戦後 1945年に再開され、以後、大きな改善もなく、すでに 60余年を経過している
一般論として、システムというものは、時と共に旧体化する
そして、常に実情に合うものに更新して行かねばならない

日本は、この旧体化した政党政治を、そろそろやめる時期に来ているのではないのか

国会議員全員が無党派で

全員が政治家としての信念に基づき票を投じることができる国会にしなければ、憲法に明記された、立法府としての国会の意味がない

なお、日本国憲法には、 「政党」 の規定は一切ないという

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