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No.180 LDLコレステロール

2012/09/28

最近、巷でも

「LDLコレステロール、悪玉コレステロール」 という言葉が聞かれるようになった
テレビのCMでもやっている

運動したって、LDLコレステロールは下がらない

食事の内容改善によって、少し下がることもあるが、あくまで 「少し」 である

コレステロールに関しては

摂取したコレステロールが そのまま血中に出て来ると勘違いしている人がいるが、実はコレステロールは肝臓で合成されている
高コレステロール血症の人は、肝でのコレステロール合成の自動調節能が少し乱れ、不必要に多くのコレステロールを作るようになっている
そういう遺伝子を、恐らく持っている

健診でLDLコレステロールの高い人は大勢いる

では、一体LDLコレステロールが高い人は どうすれば良いのか

答えは、いたって簡単

スタチン系の薬を飲んで、LDLコレステロール値を下げれば良いだけの話だ
こう言ってしまえば、身も蓋もないが、実際そうだから仕方がない

ただし、問題は

「自分が本当にLDLコレステロール値を下げる必要があるのか」 という一点にある

たしかに、統計的には

LDLコレステロール値が高いと、動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞や脳梗塞になりやい
小さな多発脳梗塞や脳虚血に起因する脳萎縮、認知症も、LDLコレステロール高値のせいかもしれない
これらの動脈硬化性疾患に将来罹患するリスクを減らそうと思えば、だぶん、LDLコレステロール値は、下げた方が良いのであろう

しかし、だいたい

動脈硬化は、加齢が最も大きなファクターであって、LDLコレステロール高値のみ によって起きるわけではない
高血糖、高血圧も動脈硬化の原因となることは周知の事実だ
だから、LDLコレステロールだけが高値の場合、これを放置した人が 全員心筋梗塞になるなんてことは 到底ありえない

LDLコレステロールは高値でも、無症状である

同じように無症状の早期がんなら、治療をするのが当たり前だ
しかし、すぐに命にかかわる状態になるわけでもないLDLコレステロール高値に対して、症状もないのに、通院して投薬を受けることには、抵抗がある人が多いと思われる

だから

高LDLコレステロール血症の、そんな害を知った上で、 「LDLコレステロール値を下げよう」 と思うか、 「自分に限って大丈夫だから、薬は飲まない」 と考えるかは、個人の自由だろう

しかし、僕自身の場合について言えば

もし 高LDLコレステロール血症を指摘されたら、きっと薬は飲むだろう
世の中にはリスクがいくつもあるから、それを一つでも少しでも減らすことは、安心に繋がるからである
保険みたいなものと考えればよい
いや、保険よりも実効性がある

スタチン系のコレステロール降下薬は

すでに出来上がりつつある動脈硬化病変を、元に戻す作用もあることがわかってきたことも、薬を服用するモチベーションとなる

しかも 人は

下がった数値を見るだけで、大きな安心がえられるのではないだろうか

統計はあくまで統計であって

統計の結果が、そのまま 個人に当てはまるかどうかはわからない
しかし、統計結果を 軽視するべきではない

「症状が出てからでは遅い」 とは、よく言われる言葉だが

高LDLコレステロール血症に関しても、これは正しいと僕は思う

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