ホーム > Dr.ブログ > No.183 教育

  • 救急の場合
  • 診療時間
  • 面会時間
  • 人間ドック
  • フロアマップ
  • 川口正展のなるほどザ・メディスン
  • Dr.ブログ

No.183 教育

2012/10/15

「愛国心? 別に関係ないし」

若者が口にしそうな言葉だ
いや、若者だけではなくて、日本人の誰もが、実はこう思っているのかも知れない

日本は、江戸後期には 寺小屋などが普及して

庶民も教育レベルが高く、 18世紀末の 一般人の識字率は、当時のロンドン、パリなどの先進諸国大都市市民よりも、遥かに高かったと言われている
明治維新という革命を経て、政治体制が大変換を遂げたあと、日本は欧米の技術を精力的に取り入れ、軍事力を背景にしながら、巧みな外交政策を推し進め、文明国の仲間入りを果たし、飛躍的な発展を遂げた
これも、教育がその基盤にあったから、と言えるだろう

さて、今の我が国の教育レベル、質は一体どうなのであろうか

経済の絶頂期を過ぎ

GDPでは中国に抜かれ、赤字国債残高が 1000兆円にも膨れ上がり、長年続く不況からなかなか脱却できない残念な日本ではあるが、日本をここまで駄目にした原因が、たぶん、昭和中期の教育とか 「ゆとり教育」 のせいではない ことはわかる

しかし、今も昔も

小、中、高の教育は、常に受験教育を念頭に入れておこなわれている
さらに、学校の授業だけでは不足らしく、塾通いが当たり前にもなっている
良い大学に入学するために、受験教育は必要であるが、それは本来の 「学校教育」 とは 随分かけ離れている

米国の迎撃用ミサイル、「パトリオット」

これを 辞書で引くと、 「愛国者」 とある
同様に、他の、いくつかの国家にはある、 「愛国心」 、 「自国民であることのプライド」 を教える授業があるが 日本にはない

少なくとも

僕はそのような教育を受けた記憶がないし、今も恐らく、どこの学校でも、諸事情により、実施されていないはずだ

「愛国心」 などと言うと

戦前の思想教育を連想する人もいるかも知れないが、勿論、戦前のような、偏った国粋主義の思想教育は正しくない

また、たとえ、子供時代に、偏った思想教育を受けたとしても

言論統制のない 我が国では、大人になれば、メディアや、インターネットなど、情報はどこからでも入る

そして、その情報を基に、自分で国内情勢や、国際情勢の状況判断ができるため、どこかの国とは異なり、偏った思想のままでいることは ありえない

しかし、だ

「メディアの世論誘導」 が囁かれるように、メディアや インターネットの情報が、全て中立公正な立場で発信されてはいないことに、意外と気がついていない大人が多い
「メディア」 も 情報を売る商売であるから、スポンサーもあり、客もいる
当然、中立は ありえない

そこで、教育の課程で、是非とも取り入れて頂きたいことがある

それは、発信された情報を使って 「真実を読み解く技術」 を教えることである
実例を出して、徹底的に教えることこそが重要である

自分の国を知るためには、外国を知らなければならない

しかるに、外交事情は刻々と変化する
だから、大きな外交問題や 経済問題が 生じた際には、リアルタイムに生徒に、その問題の 背景と、本質を 教えることが 大切で、そうすれば、生徒はやがて、経済 ・ 外交に関して、定見を持った大人に 育つことだろう

尤も、公立学校における このような教育には 自ずと限界があるので、私塾で行うことが 望ましいのかも知れない

戦後

日本国民は 経済の繁栄と、平和と、生活の豊かさを経験してきたため、国家のありようとか、外交 ・ 経済に 関心を持つことは 殆どなかったのではないだろうか?
また、そういったことに関する教育も受けて来なかった

日本国内で、日本人として暮らしていく以上

「国家あっての自分、今の生活」 であることの認識 (これを 「愛国心」 と言うべきか否かは、僕にはわからない) が、とにかく 薄いように思えてならない

北方領土、尖閣諸島、竹島など

領有権問題が 一気に噴出している昨今、相手国や 国民との、国家認識の温度差が あまりにも大きいように感じる

たとえば、街頭でインタビューを受ける人の中に

「政府間の問題だから、個人としては、特に意見はありません」 的な 意見を述べる人がいるのは、誠に残念なことだ

 |