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No.193 秋冬物

2012/12/12

テレビドラマの視聴率が、総じて低迷している

テレビでは、かつて

「ヒットパレード」 のような歌番組が席巻していたが、今は影を潜めた
これと同じ現象が、今起きつつあるような気がする

今期、秋冬物のテレビドラマについてである

ご存知、今まで、高視聴率ドラマを輩出してきた、8チャンネル月曜 9時枠

いわゆる 「月 9」
現在放映されているのが、木村拓哉主演の 「プライスレス」
僕はこれに少々はまっている

ストーリーは明快単純

魔法瓶会社をリストラされたキムタクが、仲間 2人と画期的な魔法瓶を開発して会社を立ち上げるというもの( 8話まで)

魔法瓶という、およそ現代的ではないものを取上げたことや

さまざまな破天荒なストーリー展開の割には、毎回、結構な高視聴率をキープしている
気の弱い上司を演じる中井貴一の演技が光っているので、僕はついつい次回も見てしまう

「初めから不可能なことなんてない」 というキムタクの台詞

明るい話題のない昨今、虚構とは言え、この、どこまでも前向きな主人公の紡ぎだす、明るいドラマは、終わった後の後味も、なぜか爽快だ
ストーリーの如何ではなく、元気を与えてくれる所がヒットの原因なのかも知れない

対する同じ8チャンの「ゴーイングマイホーム」

視聴率男、阿部寛を主役に起用し、あの山口智子が 16年ぶりに出演するということで、満を持してスタートしたであろうものの、初回から視聴率は低く、しかも回を追うごとに低下している

撮影には、高級なプログレッシブカメラを用い

さらにシネライクガンマという特殊処理を施した画面は映画的であり、信州の豊かな自然を美しく描き出している
しかも、幾人もの主役級俳優が脇を固めていて、まことに豪華なのだが、このありさまだ

これからわかることは

テレビドラマは、今やキャストや映像美で視聴率が決まる時代ではなくなった、ということだろう

速いストーリー展開、メッセージ性

といった特徴を備えた 「プライスレス」 がヒットする一方で、大したストーリーもなく、淡々と、 2つの家族の生活を、ただ丁寧に描いてゆく、 「ゴーイングマイホーム」 はすべった

僕は評論家ではないので大きなことは言えないが

要は、変わりつつある視聴者のニーズ、視聴者層の変化を捉えきれていなかった、あるいは、製作者側の意図と、視聴者側のドラマ内容に対する要求に温度差があった、と言えるのかも知れない

個人的には、僕はゴーイングマイホームも好きである

小津の 「東京物語」 的であり、元来、映画監督である是枝裕和らしい作品に仕上がっているから

ゴーイングマイホームに限らず

今期ドラマは、どのチャンネルも低視聴率のものばかりである

視聴者のニーズが時代と共に移り変わることは世の常だが

テレビ以外の通信媒体が増えた今、国民全体が、テレビというものに関心を示さなくなっているのではないだろうか

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