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No.195 運動8効

2012/12/15

ヒトも動物であるから、本来野山を駆け巡って、はじめて健康が保てる

しかるに、近年は交通・移動手段が発達したから、我々は日々の生活において、意識して運動をしなければ、運動量は極めて少なくなってしまう

「維新 8策」にあやかって「運動 8効」としてみた

運動の 8つの効果という意味である

8つとは

  • 代謝改善(糖尿病予防)
  • 筋力増強
  • 骨の強化(骨折予防)
  • 心、肺機能の維持、向上
  • 認知機能の維持(認知症予防)
  • 睡眠障害の改善
  • 高血圧改善
  • 免疫力強化(感染症、癌の予防)

である

以上は、結構知られていることであると思うが

どういった機序で、運動がこのような効果を発揮するのであろうか?

認知症について

有酸素運動によって成長因子の一つである IGF-1という物質が作られるが、 IGF-1は短期記憶に重要な役割をしている海馬を刺激することがわかっているという

癌について

運動強度に比例して NK細胞 (ナチュラルキラー細胞) が活性化する
また、運動により βエンドルフィンが増えるが、 NK細胞には βエンドルフィンの受容体があるため、結果、運動で NK細胞が活性化する
NK細胞は癌細胞を攻撃するので、結果、運動で癌が減る

と、薀蓄を垂れてはみたが

これは NHKの、ためしてガッテンの受売りである

外来通院の患者さんは高血圧や糖尿病の人が多いので

僕は常に運動を勧めているわけだが、それでも運動を日常的に行っている人は多くない
先週、外来通院患者さんの何人かに、 「何か日常的に運動をしていますか?」 と聞いてみた

結果

49歳から 72歳の男女 131名のうち、何らかの 「運動」 をしている人は 22名 (17%) だった
ただし、 「運動」 とは別に、農作業をしている人は 46名いた
運動も農作業もしていないと答えた人は 75名 (57%) に及んでいた
農作業については、その運動量について詳細不明だが運動に含まれるだろう
しかし、全く運動をしない人が結構多い

なぜ多くの人は運動をしないのであろう?

そこにはきっと様々な理由がある

たとえば

  • 運動をする暇がない
  • 夏は暑い、冬は寒くて雪が降る、夜は暗いなどの理由で戸外へ出るのに抵抗がある
  • どんな運動をしたら効果的なのかわからない
  • 運動をすると疲れる
  • 人目が気になる
  • 同じコースを歩くので飽きる
  • 運動を継続しても、体重減少などの成果が目に見えてこないので張り合いがない

などといったところか

そこで考えた

運動をしたいが、その実際がわからないという人を対象にマンツーマンで相談に乗る 「スポーツアドバイザー制度」 を創設し、アドバイザーを地域ごとに配置してはいかがであろう

アドバイザーはアウトソーシングでも可能である

そして、運動を希望する人に、その人に最も適した運動プログラムを示す
そして、定期的に面談して達成の具合を確認したり、相談に乗る

あくまで、運動をしたい人が対象であるから

初めからモチベーションは高いはずだ
また、強制されるものではなく、あくまで運動をしたい人が主導権を持つため、継続性が高いと思われる

運動というと、歩行を連想し勝ちだが、何でも運動だ

洗濯、部屋の掃除や模様替え、自転車をこぐ、雪かき、農作業など
また、家の中での 「ながら運動」 だって、立派に運動の効果が上がる

これらの運動習慣が日本中に広まれば

メタボ健診も不要となるはずだと思うのだが

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