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No.200 スピード

2012/12/28

「 57歳の医師が、ポルシェで首都高速を時速 140kmで暴走、検挙された」

との記事がウェブニュースに出たことがある

その開業医は患者から厚く信頼され、地元の医師会長も務める人だった

そして、普段はとても温厚な人柄だったとのこと
だから、 「温厚な医師がなぜ」 といった論調で、記事は書かれていた

「犯人」 (医師) の弁解は

「後続のトラックにパッシングされ、しかも、そのトラックは、追い越しの際、危険きわまりない、すれすれの幅寄せをしてきたから、頭にきて抜き返そうと思った」
といった内容の記事だったように、僕は記憶している

冷静に考えると

類似の行為は、おそらく、日本中どの高速でも、日常的に繰り返されていることだろう
すなわち、 57歳の医師は、別に、何も特別な奇行を行ったわけではない

その年齢からすれば、分別ある大人

しかも医師会長という役職を持った、世間的には尊敬されるべき立場の人であったから、ニュースになってしまった

速度違反は、れっきとした犯罪である

しかし、この 57歳は事故を起こしたわけでもなく、被害者がいたわけでもない
彼は、もしかすると、レーシングドライバー並の運転技術を持っていたかも知れない
しかも運転していたのは高性能車の代表格とも言えるポルシェである
だから、 140km/hという速度は、 「彼にとっては」 決して危険な速度ではなかったかも知れない

そう考えると

この事件は、 「犯罪」 と言うには聊か大袈裟過ぎるような・・・
正直、僕は心の中で、そう思ってしまう


「彼は車に乗ると人が変わる」

世の中には、そう言われる人達がいる
かの 57歳も、果たしてそうであったのか?

僕は、「車を運転すると人が変わる」 などということはありえないと考える

車を運転して乱暴になる人は、もともと乱暴で、自分勝手な性格であるというだけの話だ

車内は自分だけの閉鎖空間、自分の部屋である

だから自室にいるような錯覚から、つい本性が出てしまう
自室の中で聖人君子である人などきっといないように

道路上は、多くの車両が行き交う 「社会」 である

しかるに、人が車両を運転しているにもかかわらず、運転者同士は顔が見えないことが多いので、道路上が社会であることをつい忘れる

対面する他人に対しては丁寧な人も

対面する車に対しては無頓着で、自分勝手な行動に陥り勝ちになる
だから、運転がつい乱暴になったり、意地悪になったり、他車の動きに対して、やたらイライラしたりする

車は、どんな人物が運転しているか、全くわからない

車種で判断することだって難しい
だから、全く素性のわからない人と対峙する心がけが大切だ

「道路の上」 という社会では

どんな状況でも、常に大人の対応が求められる
決してカッとしたり、イライラしたりしてはいけない
相手の、どんな自分勝手な運転も、大きな心で許してしまおうではないか

先のニュースは、僕にそういったことを再認識させてくれた

※ 個人的な感想に過ぎません

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