2013/02/18
病院職員は、毎年、この理屈で片付ける
田植えで忙しいと、家の年寄の具合が悪くなっても病院に連れて行かないと言うのだろうか?
東新記念病院では巡回バスを運行しているというのに
それとも、田植えで忙しいと、病気になっている暇などないとでも言うのだろうか?
そんな理由が正しくないことなど知っていて、皆、苦し紛れにこう言うのは、きっと、どの病院でも同じなのだろう
1ヶ月に 12kgの体重減少がある
血液検査では、ナトリウム値が 121mEq/Lと正常値を下回っている以外には、特に異常はない
単純X線写真では、大きな胃泡と、胃内の大量の液体貯留を思わせる水平線が見えるが、腸管ガス像に腸閉塞を思わせる所見はない
腹部単純写真を眺めながら考えていた
指導医の杉田は、この時点で、実はおおよその診断はついていたのだが、玉森の出方を見た
玉森 : 「アノレキシア・ネルボーザ (神経性食思不振症) っぽいと思いますが、器質的疾患を否定するために、一応、頭部CTと、腹部造影CTを撮ります」
杉田 : 「え、どうしてそうなるの?」
玉森 : 「だって単純写真では情報量が少な過ぎます」
杉田 : 「CTの前に、吐くのが先か、体重減少が先か、はたまた低ナトリウム血症があるから食思不振になるのか、病態を整理してみてはどうだろう」
玉森 : 「でも、まずCTで器質的な消化器疾患の有無について、確かめたいと思います」
杉田 : 「なぜそんなにCTにこだわる? 胃カメラという選択だってあるし」
玉森 : 「でも ・ ・ ・ 」
「確かに自分は、CTで何を確かめたいというのだろう」
裕太郎は、CT実施の明確な目的がないことに、杉田の指摘によって気付いた
- つづく -
この物語は全くのフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません