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No.225 誤診

2013/03/15

その日、最後まで外来診療をしていた鮎川は運が悪かった

時刻は午後 4時をまわっている

「そろそろ終わりか」 と思っていたとき、外来ナースが近づいてきた

「先生、受付時間を少し過ぎちゃった患者さんが来たんですけど、診てもらえませんか?」
「先生しかいないんです」

外来ナースは申し訳なさそうだが、何としてでも鮎川に診て貰わなくては困るのだ
「もう随分待っていらっしゃいます」

無言の、いや有言のプレッシャーをかける

「受付時間を過ぎてから受けつけるのがいけないのに」

鮎川は思う

しかし、まだ今は当直の時間帯でもない
「きっと余程のことで受診したのかも知れない」

そう思った鮎川は

「はい、診ます」

と、快く引き受けた


重森さおり

22歳の小柄な女性だ

主訴は、朝からの腹痛、それに嘔吐
熱はなかったが、何となく元気がないし、笑顔もない
下痢はしていない

昨晩、友人達と夜遅くまで飲んでいたとのこと

「ははーん、これは飲み過ぎだな」

鮎川の第一印象は 2日酔いか急性胃炎

ベッドに寝せて診察をする

痛いという腹部には圧痛もなく、腸の蠕動音も聞こえた
他にも特別な異常所見は見られなかったが、舌が多少乾燥しているようだった

この時間だし、検査も必要ないだろうと判断した鮎川は

5%ブドウ糖 500ccの点滴指示を出し、制吐剤と胃の粘膜保護剤とを処方して、念のために明日の午前外来を予約して帰宅可とした

この夜、重森さおりに大変なことが起きようことなど、予想だにしないで

- つづく -

この物語は全くのフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

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