2013/04/30
前回の話 : 食欲がない
玉森 : 「食欲がなくて、胃が正常なら、何か精神的なものかも知れない、そこの所、詳しく聴いたんですか?」
藤谷 : 「精神的な原因も重要だけど、まず器質的疾患を除外するのが先じゃない?」
田中 : 「食欲がなくなる原因疾患は山ほどあるよ 微熱があっても食欲は落ちるし、どこか痛いところがあっても食欲がなくなる」
「逆に、食欲が普通にあるということは、全身的な重大疾患がないという証拠でもあるけどね」
須田 : 「だから、その原因を討論しとるんやないか まともなことゆー奴、誰かおらんのか」
小栗 : 「そういう須田先生のご意見は?」
須田 : 「うっ!・・・・」
須田が論理的に物事を考えるのが苦手なことを知った上での小栗のツッコミはきつい
杉田 : 「僕は内分泌系に着目したい 三浦君、何か言って」
三浦 : 「下垂体前葉機能低下症は典型的な食思不振の原因ですよね」
鮎川 : 「でも、出産後にも月経があり、授乳もしていて、腋毛、恥毛もあります」
「だから、汎下垂体前葉機能低下症は考えていません」
「妙に色白な人ですけど」
「出産と関連しない前葉低下症もあるし、コルチゾール値は測定したの?」
鮎川 : 「 Fや GHは外注だから、まだ結果、来てません」
三浦 : 「うそ、あんなん、 2日で来るよ」
鮎川 : 「あっ、来てる 1.2 だ!」
三浦 : 「 ACTHは?」
鮎川 : 「測ってなかった」
ちなみに、血清コルチゾール(F)の基準値は 4.0から25μg/dlの施設が多い
杉田 : 「 ACTH単独欠損症で決まりのようだね 色白だし、色素沈着とかアジソンの症候はないんでしょ だったらすぐ治療してみたら 劇的に良くなるよ」
小栗 : 「ナトリウム値や血糖値、尿酸値が低いのも、だぶん、コーチゾール不足の結果じゃないかな」
鮎川 : 「ナトリウムや血糖値の低下が僅かだったので、自分には、これが低いという認識がなかったように思います」
須田 : 「下垂体前葉機能低下症は、最近では IgG4関連の下垂体炎が関係してるという説がある」
鮎川 : 「須田先生、それ本当の話ですか?」
須田 : 「 ・ ・ ・ ・ 何かの ・ ・ ・ 本で ・ ・ ・ 読んだ ・ ・ ・ ような ・ ♯$△£?□☆▽♭ ・ ・ ・ 」
カンファレンスの翌朝から副腎皮質ホルモンであるコートリル錠を処方された
夕食は完食
そして、人が変わったように明るく、よく話す
もちろん、次の日も、病院食は完食した
結衣さんは
「世界が変わったようです 今までの自分は何だったんでしょう」
と答えた
追加の検査を受けて、入院 5日目の朝、元気に退院していった
この物語は全くのフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません