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No.239 過換気症候群?

2013/05/02

「 36歳女性、過換気症候群のようです」

救急隊の連絡を最初に受けたのは、鮎川真奈実だった

「夫婦喧嘩でもしたか?」

まもなくサイレンの音を消して、救急車が到着した
病院直前でサイレンを消すのは、付近の住民に対する配慮なのだろう

患者は苦しそうに顔をしかめているが、意識は清明

呼吸数 36回
酸素 5リットルをリザーバーマスクで吸入している
それでいて、経皮的酸素飽和度は 97%

呼吸数は確かに多いが、酸素吸入で SpO2が 97%は過換気症候群ではありえない

これは、れっきとした呼吸不全だ

患者は数日前から発熱があり

2日前、近医でインフルエンザAと診断され、抗ウイルス薬を投与されていた

昨日からは熱も下がり、明日からは出勤する予定であったという
元気になりつつあった彼女が突然悪化したのは一体何が原因なのか

肺の聴診では、痰のからまったゴロゴロ音

心臓の聴診では、不整はないが、雑音を伴う頻拍と過剰心音が聞かれる

胸部X線撮影では両肺に広汎にスリガラス様陰影が広がっている

心陰影も大きい

胸水もありそうだ

  • インフルエンザ肺炎?
  • インフルエンザ後の細菌性肺炎?
  • 心不全?

「困ったらすぐ相談」 主義の鮎川に選択の余地があるはずもなく

呼吸器内科の遠藤部長に相談の電話を入れた

- つづく -

この物語は全くのフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

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