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No.246 腹痛と嘔吐・2

2013/05/24

腸閉塞 (イレウス) の三輪芳子さんの手術は

翌日の陽の昇るころ、無事終了した

回腸の末端

すなわち回盲弁付近で発見された直径 3cmほどの胆石が、今回の小腸閉塞の犯人であった

いわゆる 「胆石イレウス」

胆石イレウスとは

もともと胆嚢内にあった胆石が胆嚢の薄い壁、そして胆嚢壁に癒着隣接する十二指腸などの小腸の壁の両方を破って小腸に落ち、それが小腸のどこか狭い部位に詰まってしまうものだ

通常、胆石には石灰が付着しているので

胆石は一般に CTなどのエックス線を使った検査で、その存在がわかる

しかし、レントゲンに写らない胆石もあり、最近増えている
今回のケースもそれで、 CTでも存在部位がわからなかった

決め手となったのが

胆道内に見える空気、いわゆる 「ニューモ ・ ビリ」

これは、腹部の単純エックス線写真でも、目を凝らせば見ることができる
胆嚢と小腸に胆石の抜けた穴が残るため、その穴から小腸内のガスが胆嚢を通じて肝内胆管にまで侵入するのだ


執刀した坂田が話す

「 小腸は大腸に比べて細いから、基本的にどこに、何が詰まってもおかしくなくて、特に 2cm以上の胆石は詰まりやすい 」

「 かつて、大量に糸コンニャクを食べて起きた小腸イレウスもあった 」

「 まる飲みにしたコンニャクは消化されずに、そのままの形で小腸まで運ばれてしまったんだろう 」

「 僕は、椎茸が丸い形のままでバウフィンに詰まったイレウスをオペしたことがある 」

「 胆石イレウスは比較的まれな疾患だから、その目で見ないと、術前診断ができるのは 5割もないんじゃないかな 」

傍らで三浦は、坂田の話を真剣にメモしている

3分で昼食を済ませる、早食いが特技の三浦は

「これからコンニャクの一気食いは止めよう」

「椎茸とコンニャクは、よく噛んで食べよう」

と、真剣にそう思った

この物語は全くのフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

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