2013/07/16
谷口さんの呼吸状態が変なのだ
あえぎ様の呼吸をしている
経皮的酸素飽和度は 86%、
胸部の聴診をする
左肺の呼吸音が聞こえない
一体何が起きたのだろうか?
すると、何としたことか左肺が真っ白である
肺に、胸水あるいは血液が、急激かつ多量に溜ったとしか考えられない
すると、術前に入れた中心静脈カテーテル(CVC)先端が左に寄っていることがわかった
もしかして、カテーテルが上大静脈壁を貫通して、左肺に輸液内容が入っているのではないだろうか?
23ゲージの注射針をつけたシリンジで、胸水を試験的に採取してみた
胸水は血液ではなく、無色透明で、電解質組成は、今、ぶら下がっている輸液の内容とほぼ同じであることがわかった
明らかにカテーテルは上大静脈内にあったはずなのに、一体いつ、なぜ、静脈壁を突き抜け、左の胸腔にまで達したのだろう?
疑問は残るが、とにかく 「胸水」 を除去しなければならない
末梢からの輸液に変更したあと、左肋間を穿刺して胸水除去にかかった
谷口さんの呼吸は楽になっていった
こんな 「ありえへん」 出来事は、小栗は、実は以前にも経験したことがある
その時は別の医師が入れた CVCだったのだが・・・
再度胸部写真を撮るべきなのだろうか?
小栗にとって、考えさせられることの多い一日であった
- おわり -
この物語は全くのフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません