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No.249 血圧3

2013/07/16

病室に入り、患者を見た途端、小栗は唖然とした

谷口さんの呼吸状態が変なのだ
あえぎ様の呼吸をしている

経皮的酸素飽和度は 86%、

胸部の聴診をする
左肺の呼吸音が聞こえない

一体何が起きたのだろうか?

胸部レントゲン写真を見る

すると、何としたことか左肺が真っ白である
肺に、胸水あるいは血液が、急激かつ多量に溜ったとしか考えられない

もう一度、写真をじっくり見る

すると、術前に入れた中心静脈カテーテル(CVC)先端が左に寄っていることがわかった

もしかして、カテーテルが上大静脈壁を貫通して、左肺に輸液内容が入っているのではないだろうか?

小栗は左第四肋間から

23ゲージの注射針をつけたシリンジで、胸水を試験的に採取してみた

胸水は血液ではなく、無色透明で、電解質組成は、今、ぶら下がっている輸液の内容とほぼ同じであることがわかった

CVC先端は挿入時

明らかにカテーテルは上大静脈内にあったはずなのに、一体いつ、なぜ、静脈壁を突き抜け、左の胸腔にまで達したのだろう?

疑問は残るが、とにかく 「胸水」 を除去しなければならない

小栗は、右鎖骨下から挿入されている CVCを抜き

末梢からの輸液に変更したあと、左肋間を穿刺して胸水除去にかかった

無色透明の 「胸水」 はどんどんと抜けて行き

谷口さんの呼吸は楽になっていった

CVC挿入後の

こんな 「ありえへん」 出来事は、小栗は、実は以前にも経験したことがある
その時は別の医師が入れた CVCだったのだが・・・

CVC挿入後、少なくても 1日以内には

再度胸部写真を撮るべきなのだろうか?

小栗にとって、考えさせられることの多い一日であった

- おわり -

この物語は全くのフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

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