2014/02/21
突然、僕の右耳が聞こえなくなった
キーンというような高調の耳鳴りが右に聞こえるだけ
すると、全く聞こえないのではないが、かなり音は小さく、他人の声がとても不明瞭で内容がよくわからない
きっと、もう治らないだろう
諦めの早い僕は、すぐ観念した
人は歳を取るにつれ、いろいろな喪失体験が増えてゆく
眼科受診したところ、 「網膜裂孔です」 と診断された
強い近視の人では、時折あることらしい
飛蚊症は、硝子体に出血したためとのことで、レーザー凝固を受けても当然治るわけもなく、以後、文字を読みづらくて仕方なかった
その後、今のところ、網膜剥離を起こしてはいないが、飛蚊症と、夜、電灯の周りにぼんやりと霞んで見える暈は治らない
もう諦めているが、最近は慣れてしまって、意識することもない
「まあ、まだ左耳が聞こえるから、いいか」
一瞬そう思った
しかし、次の瞬間、 「まてよ、左耳も突発性難聴になったら、よく遭遇する耳の遠い老人ではないか」
そう考えると、うんざりした
寂しいが、生きていれば必ず経験する過程だから仕方がない
暗い気持ちになりながら、外来診療は、何食わぬ顔で続行した
常勤医師はいないので、週一度だけしか診療していない
その日は耳鼻咽喉科の診療日ではなかったので、昼休み、最近入手した 「今治 2014年版 」 の 「突難」 の項を調べた
だめもとで、 「処方例」 の通りに、発症一時間後にステロイドと、ビタミンB12を服用してみた
「突難」 の治療は、早ければ早いほど良いのだ
午後の診察時にも、診療が終って帰宅しても、一向に改善の気配はない
こんな時に飲酒してよいものかわからないが、やけ酒をのんだ
知らない間に炬燵で居眠りをして、暑くて目が覚めた
そして、いつものように、ラジオをつけて 「オールナイトニッポン」 を聞く
すると気付いた
僕の 「突難」 は治ったらしいのだ
正直、ほっとした
神様、本当にありがとうございました
単なる耳管狭窄だったのかも知れない
でも、今回は救われた
ステロイドが良かったのだろうか?
それとも、酒が良かったのだろうか?