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No.299 講演

2014/03/04

講演を依頼された

「出前講座」 というもので、当院の医療に携わる職員が、町の各地区に出向いて、医療 ・ 医学に関する講話をする、恒例の行事である

打ち合わせの席で、まとめ役の T さんが

今回も スポーツと健康ということでお願いします」

と、いとも簡単に言う

」 というのは、実は僕はこの話題で、今までに 2度ほど講演をしているからだ

これまでの講演内容で

すでにスポーツの効用は出尽くしているので、講演内容に困ったが、とりあえず、今回の演題は

「スポーツの欠点と利点」

としてみた

「スポーツの利点」 だけなら、今までの内容と、かぶりまくること必定

そこで一発逆転 (正しい使い方か?) を狙うこととした

スポーツをすることの欠点の羅列から、講演をスタートするのである

聴衆は

よりにもよって、スポーツクラブ会員、つまり、スポーツ大好き仲間である

「スポーツはこんなに体に良い」

を聴きに集まってくれる人々である

そこに水をさすのだ

ざまあみろ (おっと失礼)

  1. スポーツは戸外ですることが多いから、大量の紫外線を浴びる
    (紫外線を浴びれば皮膚の劣化は進行し、皺も増え、白内障になりやすく、皮膚癌にだってなるだろう)
  2. 流行のウオーキングや トレッキングは 膝関節を使うから、将来関節が磨り減って人工関節に変える手術 (TKA) が必要になるかも知れない
  3. スポーツをすると酸素消費量が増えるので、体の中に活性酸素が増えて、老化が早まるかもしれない
  4. 血圧上昇を伴うようなスポーツでは、もし脳動脈瘤があれば、破裂して死亡することだってある
  5. 食事後の激しい運動で誘発される心停止 (心室細動) がある
  6. スポーツ選手が長命であると結論づけた研究結果はない
  7. スポーツとは無縁で、座業の多い作家や漫画家には長寿者が多い

こんな内容をはじめに持ってくる

聴衆はきっと、がっかりするだろう

しかし、たいていの物事には光と影があり

以上はスポーツの影の部分を強調したに過ぎない
すなわち、こういったことがあることに気を配りながら、そして、その対策を立てながらスポーツを楽しむことが必要だと、僕は言いたいのだ

ああ、すっきりした


あとは

ありきたりの、 「スポーツのメリット」 を羅列して、スライドを作り終えた

出来上がりを、パワーポイントの 「スライドショー」 で見ながら

「これなら、いつもとは、かなり切り口が違うから、興味を持ってもらえるだろう」

と、僕は深夜に、一人ほくそえんだ

さて、翌朝

スライド内容をメモリーチップに移して T さんに渡し、あとは 3日後の講演当日を待つのみとなった

ところが・・・・

講演日は、あの全国的な大雪の日

そして昼頃、 T さんから電話があった

「この雪では、皆さんスポーツセンターに来ることができないですから、申し訳ないですが先生の講演は中止ということにさせてもらいました」

えっ ? ? ?

そ、そんな ・ ・ ・

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