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No.304 喘息 と 胃潰瘍 と 心不全 その3

2014/03/19

今回は、心不全の治療についてである

長いこと、心不全にβ遮断薬を投与することは禁忌であった

とんでもないことだった

と 「過去形」 にしたわけは

今では慢性心不全治療にβ遮断薬が必須であるからだ

???

慢性心不全状態では

心筋の収縮性をできるだけ保つための生体の努力なのか、心臓は常に交感神経緊張状態下にあるらしい

「この交感神経優位の状態が、心筋細胞を鞭打つことになり、心不全をますます悪化させている (悪循環) 」 との発想から、β遮断薬を投与する大規模な臨床試験が行われた

その結果、β遮断薬では

カルベジロール (製品名はアーチストなど) と、ビソプロロール (製品名はメインテートなど) が、慢性心不全の予後を改善する効果のあることが判明したので、我が国でも慢性心不全に保険適用となった

もちろん、これらの薬剤は

はじめは極少量から開始して、状態を見ながらゆっくりと増量し、結局は常用量まで持ってゆく

過去に禁忌であった薬が、今は必須薬になろうとは

まさに コペルニクス的発想であるが、 無茶な試みであった

ちなみに、カルベジロールを用いた海外の大規模臨床試験の名は

「COPERNICUS」、そして日本国内での臨床試験名は 「MUCHA」


※ COPERNICUS : Carvedilol Prospective Randomized Cumulative Survival
※ MUCHA : Multi center Carvedilol Heart failure dose Assessment

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