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No.339 宵待草 (ヨイマチグサ)

2014/08/15

竹久夢二の詩

メロディーも作曲されて、流行歌として知る人も多いと思う

正式名は マツヨイグサ

夕方になると

黄色の花弁を開き、夜通し咲きつづけ、朝が来ると花は閉じる

「月見草」 と同じではないが、太宰治の富嶽百景にある 「富士には、月見草がよく似合ふ」 という一節を思い起こしてしまう
太宰も マツヨイグサ を見て、月見草と言ったのではなかろうか

虫媒花のはずなのに

虫が飛ばない夜に咲く意味がわからないので、ウィキペディアで調べると、夕方に活動するスズメガが蜜を吸うらしい
また自家受粉もあるという
なるほど

飯綱病院に通じる道に マツヨイグサが群生している所がある

ここから十数本の マツヨイグサを採取して、診察室の花瓶に生けてみた
確かに夕刻になると開花を始め、夜間は満開となる
花は爽やかなレモンイエローで、近づくと、かすかだが、とても良い香りがする

花は一晩だけ咲き

朝、花弁を閉じると軸の部分に分離線ができて花は自然に落ちる
華やかに咲いて、潔く散る花としては、桜が有名だが、マツヨイグサはもっと潔い

数日間は咲き続ける桜とちがって、たった一晩だけ咲いて散るのだ
しかも誰も見ていない夜の間だけ咲いている
なんと奥ゆかしく、かつ潔いのだろう

いかにも日本的なマツヨイグサは

調べて見ると日本の在来種ではないことがわかる
アメリカ大陸原産の外来植物である

診察室の マツヨイグサの束はまだ幾つもの蕾が残っている

だから、当分の間は毎朝、綺麗な花を見ることができる

これが、今のささやかな楽しみである

さだまさしの歌に

「季節の花がこんなに 美しいものだと としをとるまで少しも 気づかなかった」
という一節がある

僕も歳をとったということだろう

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