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No.343 ほめる

2014/09/19

「褒めて育てる」

「褒められて伸びる人」

などという言葉がある

褒められて嫌な気分になる人はいない

誰だって良いところを褒められれば嬉しい
もっと褒められようと、更に頑張る子供は多いだろう

しかし、これは子供を育てる時には有効な方法であったとしても、自我の確立した人にも通用するであろうか

「褒められると伸びる人」 の逆は、

「叱られて (悪い箇所を指摘されて) 伸びる人」

ということになるのだろう

しかし

人によってそんなタイプ分けが果たしてできるものであろうか

「叱るより、褒めて育てる方が成長する」

というのが、今の一般的考え方のようであるが、何の科学的、実証的根拠があってこんな考え方が出てきたのか、僕は問いたい

数十人を対象としたリサーチはいくつかあるらしいが、人間は個々、人によってすべて異なるので、たかが数十人を対象とした、「結論ありき」で実施されたようなリサーチはすべて無意味である

褒めようとしても、褒めるところがない人は多い

褒める箇所がある人は、どうしていても伸びるのだと思う

指導においては

間違いの箇所を、 「ここがいけない」 「このように改善すればもっと良くなる」 と、あくまで理論的に、冷静に説明することが肝要である

つまり、良いところを褒めるのではなく、悪いところを指摘し、アドバイスするということ

今の医療教育現場は知らないが

かつて臨床医学の教育現場では、指導医が研修医に
「ばかもん、お前は患者を殺す気か!」
なんて言っている場面は日常的にあった

僕らはそんな教育の中で育ち、やっていけないこととか、緊急にやらなければならないことなどを体で学んだ

叱って、ドキッとさせて、体で覚えさせるという方法は、インパクトが強く、被指導者の心に残る
医学のように患者の生命にかかわる教育では、このような 「ドキッ指導法」 はとても有効であると思う

指導上、感情が入ることは多々あるだろうが

指導者に感情が入り込むと失敗する
「叱る」 のでなく、 「怒る」 には私的感情が入っているからだめ
指導される側は敏感にそれを感じて、反発だけが芽生える
体罰だって同じこと

「褒める」 にも

怒る場合と同様、私的感情が入っているのではないか


褒めるむずかしさは、指導に関するものばかりではない

日常において、他人を褒めることは、思った以上にむずかしい

褒められた側は リアクションに困ることが多いし、異性であれば セクハラと取られなくもない

褒めるという行為は

他人との良好な コミュニケーションを取る一つの手段ではあるが、上手に褒めるのは本当にむずかしい

他人との コミュニケーションを取ることを望むのなら

心からの感謝の気持ちを口に出すことの方が有効であり、かつ簡単であると僕は思う

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