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No.344 怒らない人

2014/09/24

決して怒らない人がいる

怒らないことは人間関係を円滑に進めるのにはとても重要なことである
しかし、怒りを表面に出さない場合でも、怒りの感情が湧きあがってくることは誰にでもあることだと思う

怒りの中枢は大脳辺縁系にあり、恐怖の中枢と隣り合わせであるという

動物にとって怒りは

己が生存するために必要であり、己の生存や満足を阻むものに対して向けられるために備わっている本能である
動物の感じる怒りと恐怖は紙一重であるから、自分が負けそうであると感じた時点で、怒りは恐怖にかわり、しっぽを巻いて逃げ出したりする

強い方も、 「相手が憎い」 という感情があるわけではいから、逃げる相手をとことん追いかけて殺すようなことはしない
相手が逃げ出した時点で、闘いは終りだ

人間の怒りは

ほとんどの場合、動物のような、生存をかけた本能的なものではない
人は、日頃、自分が好意を持っている人に怒りを向けることはない
ひごろから、なぜかイライラする人、自分とウマが合わない人などに対して怒りは向けられる

普段快く思っていない人が何か困ったことを起こすことを引き金に、怒りのスイッチが入るのである

人間は動物よりも進化した脳を持つことから

動物にはない 「感情」 に基づく怒りを抱く
しかし、生存競争のための怒りではないから、たちが悪く、怒りは恨しみに変わり、とことん追い詰めたり、殺傷事件に発展したりする場合だってある

ヒトの、 「感情にもとづく怒り」 は

一見すると動物よりも高等に見えるかもしれないが、ヒトの怒りとは、全く稚拙な感情である
子供が、おもちゃの取り合いで喧嘩するに似ている

だから、成熟した大人の社会では喧嘩は起きない (はずである)

たとえ怒りの感情が湧いたとしても、それを表面に出さないのが大人であろう

白熱した議論があっても、そこに怒りの感情が入るようでは大人とはいえない


「どんなときに怒りを感じるか」

こういった質問を周囲の幾人かにしてみた

答は

「自分の思ったようにしてくれない」

「自分の自尊心を傷つけることを言われた」

「自分に正義があるのに、それを否定するような言動をとられた」

など、すべて 「自分」 の心が傷害される場合であった

「怒りの感情を表に出さない」 訓練をするよりも

「怒りの感情を持たない」 訓練をするほうがたやすいように、僕は感じる
相手の言葉による挑発に乗って怒るようでは、相手と同程度の知的レベルであることを証明したようなものである

何を言われても、心から笑顔でいられること

こちらが反駁しなければ、攻撃はそこで終るはずだ
これができるようになるためには、相手よりも心の成熟度が高くなければならない

怒りの感情からは創造的なものは生まれない

成熟度の高い、怒りの感情を持たない大人になりたいものだ

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