2015/01/05
「ある人の人生の成功、失敗を、権力によって支配すること」
といった意味に用いられる
「人の命を奪う、奪わない、を決める権利」 を持った人がいる
例えば、軍隊を有する国では、軍人は生殺与奪権を持っている
戦場で敵兵を殺傷しても罪に問われることはない
裁判官と法務大臣はこの権利を行使することができる
他にはいないはず?
いや、そうではない
終末期医療の世界では、国民の誰もが、誰かの生殺与奪権を持ちうる
それで A氏の息子である B氏に、人工呼吸をする旨を伝えたとしよう
その時、 B氏が人工呼吸をしないと A氏は死亡することを理解した上で、 「人工呼吸をしないでもらいたい」 と言ったとしよう
人工呼吸を実施しながら抗生剤投与をすれば、 A氏は救命できるかも知れないことも、 B氏は理解していての発言である
この時、 B氏は A氏の生殺与奪権を持っていることになる
B氏が父の介護に疲れ切っていることはわかる
しかし、治癒の可能性のある治療をみすみす行わないわけには行かない
たとえ治癒の可能性があったとしても、抜管できず、人工呼吸を続ける羽目になることだってありうる
人工呼吸器関連肺炎 (VAP) になることだってある
息子の意思に沿って人工呼吸をしないで A氏が亡くなった場合、後になって B氏が前言を翻して訴訟に持ち込むかもしれない
逆に、息子の意見を取り入れず人工呼吸をおこなって、 VAPを併発して亡くなれば、なおさら問題はこじれるかも知れない
家族や近親者に生殺与奪権をゆだねるほか、ないのだろうか?