2015/05/13
このあいだ、その再放送があり、この症候群を取上げていた
何かの医学書で読んだことのあるような、ないような、曖昧な記憶があるようなないような
いずれにしても、その内容に関しては全く理解していなかった
提示された症候から、この疾患名を言い当てた
研修医でも知っている病気なのかと、僕は少し驚いた
確かに 「SAPHO症候群」 の項目はあるが、数行記載されているに過ぎず、疾患の詳しい症候や治療法に関しては書いてない
いくつかある症候の頭文字を取ったものであり、 1987年にフランスで提案された、原因不明の疾患とのこと
しかし、これだけでは、どんな訴えの時、この症候群を疑うのか、とても分かりにくい
好発年齢は 30代から 50代で、男女差はあまりなく、頻度はかなり低いらしい
これだって、あまり意味のない情報だ
実際の症例で多い症状は
だという
これなら分かりやすい
いや、見逃していたのかも知れない
そもそも疾患の存在自体を知らなければ診断はできないから
仙腸関節の激痛を訴えた患者はいた
その時は、 「仙腸関節の偽痛風」 と仮診断して、消炎鎮痛薬を処方したところ、痛みは消えた
その人に掌蹠嚢胞症があったのか、なかったのか、サホ症候群自体を知らなかったので、患者の足底までは観察しなかった
病巣感染を疑い、皮膚科や耳鼻科に紹介して、それ以後は不明である
これだって、ともすると、サホ症候群だったのかも知れぬ
前胸部痛を訴えたか訴えなかったかも忘れた
この症候群を知らない医師が多ければ、見逃している症例もけっこうな数あるのではないか
論文などで報告される数だけひろっていては、サホ症候群は 「きわめて稀な疾患」 ということになってしまう
サホ症候群も、近年の国試勉強では必須項目なのかもしれない
だとすれば、国試経験を終えて日の浅い医師は、こんな疾患だってよく記憶しているのだろう
稀な疾患は稀にしかお目にかからないし、一生診ないかも知れない
国試勉強で覚えた稀な疾患も、医師になってから一度もお目にかからなければ、時が経つにつれて忘却の彼方ということもあろう
その時の知識のたぶん 数%くらいしか今の臨床に役立っていないと思う
新たな疾患概念がどんどん増える
既存の疾患の名称が変わり、治療法が 180度転換する
気管支喘息、胃潰瘍などは、病因論や治療法がまったく変わった
(いっぽうで、 50年にわたって治療法が殆ど進化しない糖尿病などの疾患もあるけれど)
各分野 ・ 各疾患の変化に絶えずアンテナを張り巡らせていなければ、どんどん取り残され、古い医療しかできないようになってしまう
しかし、絶えず、あらゆる分野の最新情報を身につけて、それを実践することなど、恐らく不可能に近い
せめて コモンディジィーズ (頻度の高い疾患) の最新治療くらいは身につけておきたいと念じている