2015/10/05
戦後、国民が生きるために精一杯で、かつ高度成長期にあった昭和 30~ 40年代
工業復興需要が大きかったから、工学部人気が高かった
中でも人気は 航空学科、土木学科、建築学科、応用化学科
これらは みな難関で、中でも 航空学科は群を抜いて難しかった
医学部は 工学部よりもはるかに入学が簡単であり、どんな成績であろうとも入学できる医学部が少なくなかったことを知る人は今では少ない
すると医者が必要になり、医学部人気が高まった
そして、各都道府県に 最低 1校の医学部を設置する動きが出ると、医学部新設ラッシュが続き、医学部人気がさらに高まり、どこの医学部も難関となっていった
しかし、その後、需給事情から医師養成に歯止めをかけようとしたのか 1979年の琉球大学を最後に、医大の新設は終った
2014年 8月に東北薬科大学に 医学部新設が認められ、 2015年 7月には千葉県成田市にも医学部新設を認める方向となった
これからの人口減を考えると、医療の 需給バランスは むしろ医師過剰になると予測されるにも拘わらず、である
これには各方面からのさまざまな思惑があるのだが、本稿ではあえて触れないことにする
そして学部の種類はとてつもなく多くなった
昔は、文 ・ 教 ・ 法 ・ 経 ・ 理 ・ 医 ・ 工 ・ 農 くらいしかなかったが、今、 「学部の一覧」 と検索すると、何と 500余りの学部が 日本の大学に存在していることがわかる
「情報○○学部」 、 「環境○○学部」 とか 「現代○○学部」 、 「国際○○学部」 など、時代背景を反映するような、実学的な、専門学校的な学部名が目立つ
医療関係の学部も多いが、中には 「環境共生学部」 、 「 グローバルスタディーズ学部」 、あるいは 「現代マネージメント学部」 、 「社会イノベーション学部」 なるものも名を連ねていて、一体何を教えているのか見当がつかない
さらに いくつかの学科から成っているのだろうから、数千の学科が存在することになる
減少しつつある学生数を確保するため、どの大学も、より実用性の高い学部を創設していることがわかる
卒業後、即戦力となる学術を身につけさせようということなのだろう
2014年 8月に 文部科学省が全国の国立大学に向けて 「教員養成系、人文社会学系学部の 廃止、転換」 を通達した
国立大学の 文系教官は震撼したことであろう
「文学部、教育学部などは これからの日本には必要がない」 と断言してしまったような、国家の大学教育方針の大転換である
「大学運営に 独自性が尊重されるようになった」 と期待されたのとは裏腹に、結局は国家による国立大学の統制が厳しくなっただけの結果に終わった
そして、 サイフは国が握っているのだから、各大学は 従わないわけには行かず、文科省の方針を受けて、文学部などの人文社会学系の学部がある国立大学の 8割が 学部再編や定員削減などを検討していると 今年 2015年 7月に NHKが報じた
国際情勢の複雑化と、それに関連して日本が生き残るためには、持ち前の科学技術の更なる発展が緊急に求められているということがあるのだろう
余裕がない日本の今の経済事情が それを許さないほどに逼迫しているということなのかも知れない
寂しい