2015/10/09
各書店は 自店で売れそうなものだけを発注するのだが、発注された書籍すら全てが店頭に並ぶわけではない
中には、段ボール箱に入ったまま、店頭に並ぶことなく、返品されてしまうものも多いという
名の知れた著者なら、そんなことをしなくても、書店が自動的にこれらをやってくれる
しかし、ジャンルも マイナーで、著者も無名の本など、放っておけば、発注さえしてもらえない
数十軒の書店を回り、ポップを作り、平積みになった自分の本を手に取る人々を観察したが、レジまで持って行く人は少なかった
出版社が費用を出して、 「糖尿病の治療が変わる」 を掲載した
しかし、それだけでは足りないので、看護雑誌や、もろもろの健康関係の雑誌にも書評や、本の タイトルを掲載してもらった
初版の 5000部はどうにか売り切ることができた
編集者と相談したところ、 「 2000部がいいところでしょう」 といわれ、まもなく 2000部の 2刷が出来上がった
初版と 2刷を合わせて 7000部しか発行されなかったが、ほぼ完売することができたのは幸いだった
当初の目標であった 1万部には到底たどり着けなかったが
自分の足では回らなかった 東京の八重洲ブックセンターに 自書が並んでいるのを見たときは嬉しくて、つい購入してしまった
英語訳を作ってくれないかとの問い合わせがあったというが、スケジュール的に無理があり断念した
暫くして、神戸に住むという患者さんが 「本を読んだ」 からとの理由で僕の外来を訪ねて下さり、その後、神戸から新幹線で一月に一度、僕の外来に通院してくれたことだ
この本は、当時の最先端の糖尿病学の知識を詰め込んだため、一般読者以外、すなわち、糖尿病を専門としていない医師たちからも、 「糖尿病のことがよく分かった」 、 「これで患者に説明がしやすくなった」 と、お褒めの言葉をいただいた
とっくに絶版になっているものの、 ISBNの コードナンバーがついており、国会図書館には納本されているはずである