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No.408 「家族」という病名?

2015/10/30

「家族という名の病」 という本が ベストセラーになっている

元 NHK アナウンサーで作家の 下重暁子氏の著書である

僕は ベスセラ物を買わないので

この本は 書店で ぱらぱらと立ち読みしたに過ぎない
しかるに先日、某テレビ番組で この書物の内容の概要を 著者のインタビューを交えて紹介していたので視た

この程度の知識だから、

著書の内容について別に深い理解があるわけではないことを断っておく

まず タイトルが キャッチーである

奇しくも、出版元である 幻冬社を運営する 見城徹氏の著書 「編集者という病い」 と、 タイトルが似ているところが 面白くもある

恐らく

家族であることの煩わしさだけを強調する文脈に、 「あるある」 共感する人が多いのであろう
「可愛さ余って憎さ百倍」 という諺が示すとおり、家族、肉親の間では、どこの家庭でも 愛憎劇が繰り返されている
だから、 「売れる本を書く」 という点では、この テーマは大成功であったと思う

ここでは 「家族」 そのものの存在が 病名になってしまっている

僕は 医者だから、 「病名」 がついている以上、

  • 診断基準は?
  • 症状は?
  • 治療法は?

と考えてしまう

推察するに

  • 診断基準 : ひとつ屋根の下で暮らす夫婦とその子供や孫
  • 症状 : お互いを束縛し、干渉し合う
  • 治療法 : 互いの生き方を尊重し、それに干渉しない、あるいは別居

ということにでもなろうか
(なお、別居のもうひとつのメリットは インフルエンザや ノロウイルスの家族内感染が防止できること、住宅需要が増加することもある )

しかし

運命共同体である家族が お互いに無関心で干渉し合わないことなど不可能に近いと思われ勝ちである
しかるに、お互いが無関心ではいけないが、家族同士という気軽さからの お節介な干渉は結構あるのではないだろうか?

「社会」 の最小単位は 家族であるといわれる

家族が 社会ならば、社会人としての 一定の ルールは やはり守るべきものであろう

下重氏の説は

古くから続いた 「日本の家族」 を見直し、新しい家族関係を構築することが必要ということであり、その提言は 一考する価値があるのかも知れない

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