ホーム > Dr.ブログ > No.427 根拠

  • 救急の場合
  • 診療時間
  • 面会時間
  • 人間ドック
  • フロアマップ
  • 川口正展のなるほどザ・メディスン
  • Dr.ブログ

No.427 根拠

2016/03/01

  • 「 1日に 350g (~ 400g) の 野菜を食べなさい」
  • 「 1日に 30種類以上の 食材を摂りなさい」
  • 「一度 口に入れたものは 30回 噛みなさい」

これらは しばしば耳にする言葉である
いまでは、これらの数字が、サプリメントなどの、いわゆる 「健康補助食品」 なるものの 宣伝の 前フリにさえ使われている

それでは

これらの数字の 普遍的に説得力のある 実験データーが どこかに存在するのだろうか?

  • 250gの野菜では なぜいけないのか?
  • 25種類の食材では なぜいけないのか?
  • といった疑問は 当然出るだろう

だいたい、 「 3 」 という数字が なぜか多い

350、 30、 30といった、きりのよい数字が多い
このあたりで 賢い人は 気付くはずである
「厚労省の誰かが、だいたいこんなもんだろう、などと、適当に決めた数字ではないのか」 と

厚労省のホームページには 350gの理屈が いろいろ書いてあるが

これらは 何かの根拠に基づいているわけではない
要するに 「 350gの野菜」 と言ってみたのは、 「たくさんの野菜を 食べましょう」 では 具体性がないから、誰でもわかるように、数字で示してみたに過ぎない と考えるのが正しい

「 350gの野菜を食べる人が、それ以下しか野菜を食べない人に比べて 有意に健康寿命が長い」などという 大規模研究など あるはずがない

「 350g」 や 「 30種類」 は、そのうち 都市伝説になることだろう


このように

根拠の薄い (あるいは全く無い) 情報が 市井には 飛び交っているが、素直な人は きっと信じる

ウイークデーの早朝や、休日の朝のラジオ、また早朝のテレビは

「健康補助食品」 の CM番組 ばかりである
早朝は、目覚めの早い お年寄りを ターゲッとするには 最適な時間帯なのだろう

パターンは 皆同じ

素人を思わせる人が 電話で登場し、いかにすばらしい効果が出たかという 自らの使用体験談を話す
そして、決まって最後には
「これは、あくまで 個人の感想で、効果の実感には 個人差があります」
みたいな コメントが入る

ラジオなど聴かない人、しかも早朝の ラジオ、テレビ などとは無関係な人が多い中で

年寄りの僕は 何かしながら 何を隠そう ラジオや テレビをつけているから、こんな どうでも良いようなことも 知っている

慙愧

 |